あすか王子 2025-10-16 08:22:28 ID:fb0214257 |
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おそるおそる受話器を手に取った。
トュルルル、トュルルル...
耳に長いコール音が鳴り響く。永遠に続くかと思われたそれは、いきなりぶつっと断ち切られた。緊張が体中を駆け巡る。
「も、もしもし...?!」
声が上ずって、変にかすれた声しか出なかった。手にべっとりとまとわりついた汗を雑にシャツに押し付けながら、電話の向こうにいるであろう主の声に耳をそばだてた。
すごく危険なものに触れてしまったようで怖く、その晩は布団の中で恐怖に震えて一睡もできなかった。寝不足のまま朝食を摂って出かける。今度は自分の番なのではないか、と不安で朝食は味が薄く感じた。ネットで面白いネタを見つけてもどうしても気が紛れなかった。
そんなある日だった。寝ているとき、ピーンポーンとチャイムがなった
ドアから見ると、一人の小さい女の子がこちらを見ている。顔は暗くて見えない
「ど、どうしたの....?」
「お前は何をやっている。そんなことしてもお前の指を切断する羽目になるだけさ。いいから金をよこせって」さっきより強い口調でそう言われた。「警察、呼びますよ」と言ってみる。
「好きにしろ…何回も言わせるな、金をよこすんだ」
警察と言ったら逃げると思ったが、間違いだったようだ。そこでスマホを取り出してみる。動じない。思い切って通報してみた。
数分後、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
「通報があったのはこちらですか?」
「はい、女の子が銃を向けてきてお金を要求してきて…この子です」
「え?」
警察官は俺の指差す先を一瞬見て、私を睨んできた。
「女の子って、どこにいるんですか。嘘の通報はやめてください」
少し後から来たもう一人の女警官が目を見開いてキョロキョロしている。
「えっと…?」
状況が飲み込めないらしい。そうだろう。さっきの警官の一言わかったが、彼女は他の人には文字通り見えていないのだ。きっと女警官には、スマホを片手に突っ立っている俺と胸に弾を喰らって倒れている警官が見えているのだろう。
どうしたものか。焦っちゃだめだ。わかっているのに冷や汗が止まらない。
スマホに汗が伝う。背中がじんわりと濡れる感触。
女警察官に助けを求めるように目を向ける。
ただ事ではないように感じている様子が見受けられるが、
軽く後ろを見た後に
目を逸らされてしまった。
女警察官も汗をかき始めた。
ま
ま さ か
ことがあるわけが…
俺は今独房の隅にいる。
なぜか、俺はあの警官を殺してしまったことになってしまった。
そして牢屋の中には警察を殺した少女が仏頂面で壁際で立ったまま俺を見下ろしている。
彼女は俺以外は誰も見えてないらしい。通りかかった刑務官になぜ少女が牢屋の中に一緒に入っていることを話ても全く信じてもらえず、精神的におかしくなってしまったのかと思われてしまった。
彼女の服には黒くなった血痕がこびりついており錆びた鉄と微な火薬の臭いが漂っている
幻覚にしてはリアルすぎる。
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