おそるおそる受話器を手に取った。 トュルルル、トュルルル... 耳に長いコール音が鳴り響く。永遠に続くかと思われたそれは、いきなりぶつっと断ち切られた。緊張が体中を駆け巡る。 「も、もしもし...?!」 声が上ずって、変にかすれた声しか出なかった。手にべっとりとまとわりついた汗を雑にシャツに押し付けながら、電話の向こうにいるであろう主の声に耳をそばだてた。