あ、小説ね。小説だよ？病みアピとかそういうのじゃないからね？

「なにもかもやり直せたら。」

誰もが人生で一度、そう思うのだろうか。
結果が悪かったから。傷ついたから。あるいは、自分の選択がその結末を呼んだから。
色々と理由はあると思う。

けれどよく考えてみて、「やり直す」というのは、これまでの経験を最初からなぞることだ。
やることが決まっていて、「これをやったらこうなる」とわかっていたら、それはもうイージーゲームに過ぎない。
ストーリーがわかって、選択する項目も知ってる。そうなったら、面白くないと思うのは普通。

でも、俺はそう思ってしまう。

…いや、もうそう思わないな。

「やり直す」と言っても、時間を遡るだけで、経験を積んだ自分の記憶をそのままで時間を遡るということはまずできない。
そうは言っても、まず時間を遡ることはできないのだが…もし時間を遡ることができたらと言う話だ。

だから俺は、もうこの世から”オサラバ”することにした。

やり残したこと？それはもうごまんとあるね（笑）
でももういいんだ。もう何もかもいらない。

うーん、欲しいものと言ったら、ずっと寝ている感じになれるとかかな？
何も考えないで、ずっと夢の中で居続けるとか。体という概念がなく、もうなにもかも無の状態でいられるとか。

あっと、ごめんね。こんな時間取っちゃって。
そろそろ行かないと。
なーんて、誰も俺のことを止めには入らないけどね。


最後に、ここまで読んでくれてありがとう。
俺はやっと別れの言葉を言えたってわけだ。

本当に、ありがとう。



そうやって俺は、橋から飛び降りた。

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