高道くるみ 2025-12-03 12:23:06 ID:6729b6b8e |
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私は「なにか」である
何なのかはわからない
ただただ毎日蛇みたいな生き物に食べられている
逃げようにも逃げられない
金縛りにあったかのように動けないのだ
代わり映えのしない陰樹の牢獄でまたも蛇と相対した。
うねる尾はあっという間に私の体に巻き付いた。硬い鱗が肌に触れ、その冷たさに思わず死を連想する。
こんな時でさえ、走馬灯は姿を表さない。一体、私は誰なんだ。私は愚かにも、走馬灯へと誘う毒牙に、己を求めてしまっていた。意識は薄れ、視界は狭まる。何度も何度も繰り返してきた、終わりと始まりの境界線。
瞬間、石化したように動かなかった肢体に血が巡り、意識ははっきりとヘビを捉えた。覚醒した本能はただ逃げるために体を動かした。迫りくる毒牙を避け、しなる肉塊をギリギリで凌ぐ。擦り切れる体は呼気を乱し、一心不乱に逃げ出した私に、もはやわかることは何もなかった。永遠にも思えた地獄は、終わったのだ。
ようやく生にしがみつくことを覚えた無様な私には、眼の前に映る光景が、どうにも信じられなかった。終わったのではなく、次が始まったのだと
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