みんなで小説つくりましょー

高道くるみ  2025-12-03 12:23:06  ID:6729b6b8e  通報
本の題名はなんかの日常 
    • 14 重音テト   [2025-12-09 13:32:54]  通報

    突然の暗闇は、痛みを伴わない、奇妙な浮遊感をもたらした。まるで無重力空間に放り出されたかのように、上下左右の感覚が曖昧になる。先ほどまで感じていた、必死に逃げ続けることによる体の痛みや恐怖心は、まるで嘘のように消え失せ、代わりに、抗うことのできない静寂と無力感が私を包み込んだ。
    「終わった」と思った地獄は、形を変えて続いていたのか。それとも、これが「次」なる世界の始まりなのか。
    意識ははっきりしているのに、体は自分の意志とは無関係に、暗闇の中を漂っている。ふと、微かな光が視界の端に現れたかと思うと、それは瞬く間に広がり、私の全身を包み込んだ。
    光の中を通り抜けた先で、私はゆっくりと地に足がついた感覚を取り戻した。恐る恐る目を開けると、そこは先ほどの陰鬱な「陰樹の牢獄」とは全く異なる場所だった。
    見慣れない鮮やかな花々が咲き乱れ、心地よい風が吹き抜けている。空はどこまでも青く澄み渡り、遠くには穏やかな山々が見える。まるで絵画のような、美しく平和な風景が目の前に広がっていた。
    「夢?」
    思わず呟いた声は、驚くほど澄んでいて、先ほどまでの怯えた自分の声とは違っていた。恐る恐る自分の体を見下ろすと、そこには人間とも動物ともつかない、奇妙な姿の私がいた。鱗に覆われた腕、尖った耳、そして背中には小さな翼が生えている。
    私は「なにか」のままだ。しかし、もう蛇に食べられる恐怖はない。この場所は、私を捕らえる牢獄ではなく、まるで新しい生を与えられたかのような、不思議な安息の地だった。
    永遠にも思える地獄は終わり、私は私自身として、この新しい世界に立っている。過去の記憶はぼんやりとしているけれど、今はただ、目の前に広がる光景の美しさに息をのんでいた。終わりと始まりの境界線は、私を全く異なる「次」へと導いたのだ。

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