短編小説『お母さんの再婚相手』

常連さん  2026-09-28 22:15:39  通報
「母さん、再婚することになったの」

夕食の時間、母は唐突にそう言った。

俺は箸を止めた。

「……そっか」

「怒らないの?」

「別に。母さんが幸せならいいよ」

本当は、少し寂しかった。

父さんが死んでから、母さんはずっと一人だった。

俺が熱を出した日も、受験に失敗した日も、母さんはいつも笑っていた。

その笑顔が、ようやく別の誰かに向けられるようになったのだ。

「どんな人なの?」

「優しい人よ。今度、会わせるね」

母さんは嬉しそうだった。

俺も嬉しかった。

母さんが幸せになれるのなら、それでいい。

そう思った。

一週間後。

俺は、母さんの再婚相手と初めて会った。

「初めまして。よろしくお願いします」

その男は、深々と頭を下げた。

俺も頭を下げる。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

男は優しく笑った。

「君のお父さんの代わりにはなれないけど、君のことは本当の息子だと思って大切にするよ」

その言葉を聞いた瞬間、俺は泣きそうになった。

父さんが死んでから、誰かにそんなことを言われたのは初めてだった。

「……ありがとうございます」

俺は必死に涙をこらえた。

男は鞄から、小さな箱を取り出した。

「これ、君にプレゼント」

中には腕時計が入っていた。

「高かったんじゃないですか?」

「気にしないでくれ。これから家族になるんだから」

俺は何度もお礼を言った。

その夜。

母さんと二人きりになったとき、俺は言った。

「母さん、いい人でよかったね」

「でしょう?」

母さんは幸せそうに笑った。

「でも、一つだけ気になることがあるの」

「何?」

「彼、前の奥さんと離婚した理由がね……」

母さんは少し困った顔をした。

「家族の時間を大切にしすぎて、仕事をクビになったんだって」

俺は感動した。

家族のために仕事を失うなんて。

そんな人が、今度は俺たちの家族になってくれるのだ。

「母さん。俺、あの人のこと、お父さんって呼んでもいいかな」

母さんは目を潤ませた。

「もちろんよ」

俺も泣いた。

三人で、幸せになろう。

そう決意した。

翌朝。

俺が学校へ行こうとすると、再婚相手が玄関で待っていた。

「おはよう。実は、君に大切な話があるんだ」

「はい!」

「昨日、君に腕時計をあげただろう?」

「はい! 一生大切にします!」

「ありがとう。ところで、あの時計の代金なんだけど」

「……え?」

男は笑顔で言った。

「三回払いでいいから、毎月お小遣いから返してくれるかな?」

俺は固まった。

「えっ、プレゼントじゃ……」

「うん。君へのプレゼントだよ。プレゼントを買う機会を、君にプレゼントしたんだ」

男は爽やかに笑った。

「これから家族なんだから、助け合わないとね」

俺は泣きそうになった。

いや、もう泣いていた。

男は俺の肩を優しく叩いた。

「大丈夫。困ったときは、いつでも相談してくれ」

そして、最後にこう言った。

「ちなみに、今月から家計簿をつけてもらうから。家族の経済状況を知るのも、大切な勉強だよ」

俺は涙を拭いた。

「……はい」

男の言っていることは、間違っていない。

プレゼントを買う機会をもらったのも事実だし、家計簿をつけることも勉強になる。

家族で助け合うのも大切だ。

ただ、俺は昨日、感動で泣いた時間を返してほしかった。

その日の夕食。

男は母さんに言った。

「そういえば、今月から食費を三人で均等に負担しようと思うんだ」

母さんは感心したように頷いた。

「まあ! 家族の自立を考えてくれているのね!」

俺は味噌汁を飲んだ。

しょっぱかった。

味噌汁が。

そして、俺の人生も。
    • 35 なる様(夜行性   [2026-09-28 22:44:48]  通報

    ほーん、、

    • 36 なる様(夜行性   [2026-09-28 22:45:30]  通報

    普通ってなんだろうね

    • 37 常連さん(スレ主)   [2026-09-28 22:46:52]  通報

    障碍者も、そうでないやつも、覚悟しろ。(強気)


    『お母さんの再婚相手」⑥

    朝、目が覚めた。

    時計を見る。

    八時二十分。

    遅刻だった。

    昨日の夜、電気が止まってから、暗い部屋で教科書を読んでいた。

    そのまま眠ってしまったらしい。

    急いで制服に着替えた。

    でも、学校へ行く気にはなれなかった。

    朝ご飯がない。

    昼ご飯もない。

    財布には、数百円しか入っていない。

    「……今日は、いいか」

    そう呟いた。

    最初は、一日だけだった。

    次の日も休んだ。

    その次の日も。

    学校から電話が来た。

    「最近、欠席が多いけど大丈夫?」

    「大丈夫です」

    いつもの言葉だった。

    大丈夫。

    その言葉を言えば、話は終わる。

    けれど、本当は全然大丈夫じゃなかった。

    家には食べるものがない。

    水道も、いつ止まるか分からない。

    電気はもう止まっている。

    そして、お金がない。

    学校へ行くより先に、今日を生きる方法を考えなければならなかった。

    ---

    ある日、近所の工場へ行った。

    入口で頭を下げた。

    「すみません。働かせてもらえませんか」

    受付の人が困った顔をした。

    「何歳?」

    「十四です」

    「……中学生?」

    「はい」

    少し沈黙があった。

    「ごめんね。うちは中学生を雇えないんだ」

    「そうですか」

    「学校にちゃんと通ってね」

    「……はい」

    工場を出た。

    門が閉まる音がした。

    学校へ行け。

    働くな。

    でも、生活するには金がいる。

    その三つが、頭の中でぐるぐる回った。

    ---

    その日の帰り道。

    店の前を通った。

    腹が鳴った。

    店内には、食べ物が並んでいた。

    手を伸ばしかけて、止めた。

    「……駄目だ」

    分かっている。

    盗ったら犯罪だ。

    分かっている。

    でも、腹は空いていた。

    しばらく立ち尽くしたあと、俺は小さな食べ物を一つだけ盗ってしまった。

    店を出た。

    心臓がうるさかった。

    何度も後ろを振り返った。

    誰も追ってこない。

    それでも、安心できなかった。

    家に帰って、それを食べた。

    美味しかった。

    でも、途中から味が分からなくなった。

    「……俺、何してるんだろ」

    返事はなかった。

    ---

    次の日。

    学校へ行った。

    教室に入ると、何人かがこっちを見た。

    「久しぶりじゃん」

    「最近、全然来ないよな」

    「何してんの?」

    笑いながら聞かれた。

    「……別に」

    席に座った。

    すると、後ろから声がした。

    「なんか最近、変じゃね?」

    「前からじゃない?」

    笑い声。

    聞こえないふりをした。

    先生が教室に入ってきた。

    「席について」

    授業が始まった。

    黒板を見る。

    文字がぼやけた。

    眠かった。

    お腹も空いていた。

    それでもノートを開いた。

    普通の中学生みたいに。

    普通に授業を受ける。

    普通に学校へ来る。

    普通に家へ帰る。

    それが、今の俺には一番難しかった。

    ---

    帰り道。

    また店の前を通った。

    昨日のことを思い出した。

    足が止まる。

    そして、俺は思った。

    一回だけなら。

    昨日だって大丈夫だった。

    そんな考えが頭に浮かんだ。

    でも、同時に別の声も聞こえた。

    「駄目だ」

    俺はその場を離れた。

    何も買わずに帰った。

    その日の夜。

    空腹のまま、暗い部屋で布団に入った。

    目を閉じる。

    明日も学校がある。

    でも、明日の食事はない。

    その次の日も分からない。

    「まともに生きるって……」

    小さく呟いた。

    誰も答えてくれなかった。

    十四歳。

    学校へ行くことも。

    働くことも。

    家を借りることも。

    自分一人ではできないことばかりだった。

    それなのに、生きていくために必要なものだけは、自分で用意しなければならなかった。

    俺は布団の中で、ただ朝が来るのを待った。

    そして翌朝。

    また、学校を休んだ。

    • 38 常連さん(スレ主)   [2026-09-28 22:50:33]  通報

    一気に行くぞ

    『お母さんの再婚相手』⑦

    朝。

    学校へ行った。

    久しぶりに来たせいか、教室に入った瞬間、何人かがこっちを見た。

    「お、来た」

    「珍し」

    何も言わず、自分の席に座った。

    授業が始まった。

    眠い。

    昨日もあまり眠れなかった。

    ノートを開いた。

    先生が黒板に文字を書く。

    写そうとした。

    でも、手が止まった。

    シャーペンの芯が折れた。

    替え芯はなかった。

    「……」

    そのまま授業を受けた。

    ---

    四時間目が終わった。

    先生に呼ばれた。

    「ちょっと職員室に来てくれるか」

    「……はい」

    職員室に入った。

    先生が何人か集まって話している。

    俺が入ってきた瞬間、一度会話が止まった。

    「そこ、座って」

    椅子に座った。

    担任が書類を見ながら言った。

    「最近、欠席が多いよな」

    「はい」

    「遅刻も増えてる」

    「……はい」

    「授業中も、ぼーっとしてることが多い」

    何も言えなかった。

    「家ではちゃんと勉強してるのか?」

    「……してます」

    嘘だった。

    勉強する以前に、生活するので精一杯だった。

    先生はため息をついた。

    「このままだと、成績にも響くぞ」

    「はい」

    隣にいた先生が小さな声で言った。

    「最近、ちょっと荒れてるんじゃないですか?」

    別の先生が答えた。

    「そうかもしれませんね」

    荒れてる。

    その言葉が、妙に頭に残った。

    ---

    俺が職員室を出たあと。

    先生たちはまた話し始めた。

    「以前はそんな子じゃなかったですよね」

    「家庭環境に何かあるんでしょうか」

    「でも、本人が何も話さないので……」

    少し沈黙があった。

    「授業もまともに受けていないですし、最近は不良化しているようにも見えます」

    誰かがそう言った。

    「不良……ですか」

    その言葉が、職員室の中に残った。

    俺は廊下で聞いていた。

    扉の向こうの声。

    聞こえないふりをして、その場を離れた。

    ---

    次の日。

    教室の黒板に、俺の名前と一緒に、

    『不良』

    と書かれていた。

    誰が書いたのかは分からなかった。

    消しゴムで消した。

    その日の昼。

    俺が席で一人で弁当箱を開いた。

    中身は何も入っていない。

    空っぽだった。

    「弁当ないの?」

    後ろから声がした。

    「……今日はない」

    「ふーん」

    それだけだった。

    別の奴が言った。

    「最近あいつ学校来ないしな」

    「先生も不良って言ってたらしいぞ」

    「やっぱり?」

    笑い声。

    俺は聞こえないふりをした。

    空っぽの弁当箱を閉じた。

    ---

    放課後。

    担任に呼ばれた。

    「進路のことも考えないといけないからな」

    机の上に成績表が置かれた。

    以前より、かなり下がっていた。

    「このままだと厳しいぞ」

    「……はい」

    「もっと真面目にやらないと」

    また、その言葉だった。

    真面目に。

    まともに。

    ちゃんと。

    何度も聞いた言葉。

    俺だって、そうしたかった。

    学校に毎日来たかった。

    授業も受けたかった。

    勉強もしたかった。

    友達とも普通に話したかった。

    でも。

    家に帰れば、食べるものがない。

    電気もない。

    お金もない。

    それを誰にも言えないまま、

    「真面目にしろ」

    と言われる。

    「……すみません」

    それしか言えなかった。

    ---

    家に帰った。

    暗い部屋。

    冷蔵庫を開ける。

    何もない。

    水道をひねる。

    水は出た。

    まだ止まっていない。

    少しだけ安心した。

    そして、床に座った。

    今日も何も解決しなかった。

    学校では不良。

    家ではただの十四歳。

    工場では「雇えません」。

    店では、盗みをしてしまった。

    どこへ行っても、

    「ちゃんとしろ」

    と言われる。

    でも。

    ちゃんと生きるために必要なものが、

    俺にはなかった。

    暗い部屋の中で、俺は成績表を開いた。

    一番下の方にある数字を見つめる。

    そして、小さく呟いた。

    「……俺、本当に劣等生になったんだな」

    誰も否定してくれなかった。

    • 39 常連さん(スレ主)   [2026-09-28 22:54:25]  通報

    ちょっと、文字化けしてたから一旦ここまでかな?修復でき次第貼ります。

    • 40 常連さん(スレ主)   [2026-09-28 22:55:54]  通報

    もうそろそろ、鬱になってきたろ?それとも、ドパガキだから見れないか?

    • 41 名無しさん   [2026-09-28 22:58:50]  通報

    気まぐれに書いた小説がこんなにいい出来なのすごい

    • 42 IATOWWGFHABGo(神)   [2026-09-28 22:59:03]  通報

    wow...考えさせられる。でも、こうなった原因はすべて『お母さんの再婚相手』なんだよなぁ

    • 43 IATOWWGFHABGo(神)   [2026-09-28 23:00:26]  通報

    主人公は、本来であれば子供が助けを求められるはずの「家族」に呪縛されてしまったんだな。

    • 44 チャベリのにゃん姫   [2026-09-28 23:00:32]  通報

    早く続き読みたい!

    • 45 常連さん(スレ主)   [2026-09-28 23:01:52]  通報

    文字化けと戦った。
    今話は雑かもね



    『お母さんの再婚相手』⑧

    朝、目が覚める。

    時計を見る。

    七時三十分。

    学校の日だった。

    でも、起き上がらなかった。

    布団の中でしばらく天井を見る。

    「……今日もか」

    そう呟いて、また目を閉じる。

    学校へ行くより先に、今日をどう過ごすかを考える。

    それが、いつの間にか習慣になっていた。

    ---

    昼前。

    家を出る。

    近所の店の前を通る。

    以前なら、盗みをするなんて考えもしなかった。

    今では、店の前を通るたびに、

    「今日はどうしよう」

    と考えるようになった。

    それが怖かった。

    自分が変わってしまった気がした。

    それでも、空腹には勝てなかった。

    俺は食べ物を一つ手に入れた。

    罪悪感はあった。

    でも、最初の頃ほど強くはなかった。

    慣れてしまったのだ。

    それが、一番嫌だった。

    ---

    昼。

    一人で食べる。

    静かな部屋。

    テレビもつかない。

    スマホを見る気にもならない。

    ただ食べる。

    ゆっくり食べる。

    できるだけ長く食べているようにした。

    「夜まで持つかな」

    そう考えながら、最後の一口を飲み込む。

    食べ終わると、少しだけ安心した。

    でも、その安心は長く続かなかった。

    夕方になると、また腹が減ってくる。

    だから、できるだけ動かない。

    横になる。

    眠れば、空腹を感じる時間が減る。

    最近は、それが一番楽だった。

    ---

    夜。

    何も食べない。

    水だけ飲む。

    水道から出てくる水を、コップに入れる。

    ごく、ごく。

    それだけ。

    風呂に入る気力もなかった。

    水を浴びる。

    冷たい。

    でも、気にしなかった。

    体を流して、布団に戻る。

    時計を見る。

    まだ八時だった。

    「……早いな」

    でも、起きている意味もなかった。

    腹が減るだけだ。

    だから、目を閉じる。

    眠れなくても、目を閉じる。

    ---

    午前二時。

    目が覚めた。

    腹が減っていた。

    ものすごく減っていた。

    台所へ行く。

    冷蔵庫を開ける。

    何もない。

    当然だった。

    しばらく中を見つめてから、閉めた。

    水を飲む。

    また布団に戻る。

    明日のことを考えた。

    学校。

    お金。

    食べ物。

    家。

    そして、再婚相手。

    頭の中で、いろんなことが混ざっていく。

    でも、最後に残ったのは一つだった。

    「明日の昼、どうしよう」

    それだけだった。

    十四歳の俺が一番考えていることは、

    将来でも、

    勉強でも、

    友達でもなかった。

    明日の昼に、何を食べるか。

    それだけだった。

    • 46 チャベリのにゃん姫   [2026-09-28 23:04:50]  通報

    続編できるの早い

    • 47 常連さん(スレ主)   [2026-09-28 23:05:09]  通報

    今日は寝る。明日の21:00ぐらいにまたこのスレに来る。それじゃ。

    • 48 常連さん(スレ主)   [2026-09-28 23:06:01]  通報

    >>46文字化け修復してただけだからね。もともと、一ヶ月間に作ってたのを公開している感じ。

    • 49 チャベリのにゃん姫   [2026-09-28 23:07:38]  通報

    >>48そうだったんですね!
    私この話好きです!

    • 50 名無しさん   [2026-09-28 23:25:08]  通報

    おつかれ!
    おやすみ~

    • 51 おジャパン+   [2026-09-28 23:37:15]  通報

    よく知らねぇがAIじゃねぇのこれ

    • 52 デスメタル田中 ID:9dc0df87b   [2026-09-28 23:38:53]  通報

    >>51そうなの?根拠とかあんの?

    • 53 おジャパン+   [2026-09-28 23:46:45]  通報

    人間が書いてて**これ**使うか?
    少なくともなろうとNolaじゃ見たことねぇぞ。
    勘違いならすまんがね

    • 54 おジャパン+   [2026-09-28 23:47:33]  通報

    内容的にチャッピーはないな

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