小説を批判せずに見てくれる奴だけこい

常連さん  2026-10-02 21:14:50  通報
第一期

第1話 旅立ち

 その国では、最近になって妙な噂が広がっていた。

 ――魔王が、世界を支配しようとしている。

 魔王。

 その名を聞くだけで、人々は顔を曇らせた。

 遠く離れた山の向こうに住み、何人もの手下を従え、いつか人間の暮らす土地をすべて自分のものにしようとしている。

 そう、人々は聞かされていた。

 そして、その魔王を倒すために一人の若者が立ち上がった。

「……俺が行く」

 町の中央にある小さな広場。

 若者は、背中に一本の大剣を背負っていた。

 剣といっても、特別な魔法が込められているわけではない。

 ただ鋼でできた、重くて頑丈な剣だ。

 彼は剣の柄を握る。

 ずしりとした重さが手に伝わってきた。

「本当に一人で行くのか?」

 近くにいた老人が尋ねた。

「ああ」

「魔王のいる場所までは遠いぞ。山も越えなきゃならん。途中にはドラゴンだっている」

「それでも行く」

 若者は答えた。

 怖くないわけではない。

 むしろ怖かった。

 ドラゴンに遭遇すれば、普通の人間などひとたまりもない。

 魔王がどれほど恐ろしい存在なのかも、本人は知らない。

 それでも――。

「誰かが行かなきゃならないだろ」

 若者は振り返った。

 町の人々が、彼を見ている。

 期待している者。

 心配している者。

 そして、祈るような目で見つめる者。

 その視線を受けて、若者は大剣を背負い直した。

「魔王を倒してくる」

 その言葉に、広場から歓声が上がった。

 こうして、勇者の旅が始まった。

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 町を出て数時間。

「……疲れた」

 勇者は道端の岩に腰を下ろした。

 先ほどまでの威勢はどこへやら、すでに足は痛くなっていた。

「勇者って、こんなに歩くのかよ……」

 もちろん、誰も答えてくれない。

 目の前には広大な草原。

 その向こうには森。

 さらに遠くには、雲に隠れそうなほど高い山が見える。

 魔王がいるのは、その山のさらに向こうだ。

「遠すぎるだろ……」

 勇者はため息をついた。

 だが、立ち上がる。

 大剣を背負い直す。

「……行くか」

 そのときだった。

 森の奥から、低い音が聞こえた。

 ――グルルル……。

 勇者の足が止まる。

「……」

 ゆっくりと大剣を抜く。

 木々の間から、一匹の巨大な獣が姿を現した。

 四本の脚。

 鋭い牙。

 そして、勇者の身長ほどもある巨体。

「……熊?」

 しかし、普通の熊ではない。

 その身体には硬い鱗のようなものが生えていた。

 獣が唸る。

 勇者は剣を構えた。

「……やるしかないか」

 獣が地面を蹴った。

「うおおおおっ!」

 勇者も走り出した。

 大剣が振り下ろされる。

 ――ガァン!

 鈍い音が森に響いた。

 獣の身体に剣が食い込む。

 だが、倒れない。

「硬っ……!」

 獣の爪が迫る。

 勇者はとっさに横へ飛んだ。

 爪が地面をえぐった。

「こんなの、魔王のところまで行く前に死ぬだろ!」

 それでも勇者は逃げなかった。

 剣を握り直す。

 もう一度、獣へ向かって走る。

 今度は、真正面からではない。

 獣が爪を振り上げた瞬間、その懐へ潜り込む。

「――そこだ!」

 大剣が振り抜かれた。

 獣が倒れる。

 静寂が戻った。

「……はぁ……はぁ……」

 勇者はその場に座り込んだ。

 手が震えている。

 足も震えている。

 けれど、生きている。

「……勝った」

 勇者は空を見上げた。

 夕焼けが広がっていた。

 まだ旅は始まったばかりだ。

 魔王の姿すら、まだ見ていない。

 それでも彼は歩き始める。

 魔王を倒すために。

 世界を救うために。

 そして――

 誰も知らない物語の中へ。

 勇者は、一歩を踏み出した。
    • 1 常連さん   [2026-10-02 21:15:42]  通報

    王道ファンタジーだと思った人は多いだろう。実際第一期はそうです。

    • 2 チャベリのにゃん姫   [2026-10-02 21:17:47]  通報

    みんなが考える小説は面白い~

    • 3 デスメタル田中 ID:9dc0df87b   [2026-10-02 21:17:56]  通報

    >>1「実際"第一期"はそうです。」って事は、第二期からなんか始まるのか

    • 4 常連さん   [2026-10-02 21:19:37]  通報

    >>3ご名答

    • 5 常連さん   [2026-10-02 21:20:45]  通報

    ちなみに、そこまで長編じゃないです。
    あと、デスメタル田中さんにゃん姫さんは地味に久しぶりですね。



    第一期

    第2話 戦士とドラゴン

     旅に出て二日目。

     勇者は、とある町にたどり着いた。

    「……腹減った」

     昨日からまともな食事をしていない。

     町を歩いていると、一軒の酒場が目に入った。

     木製の看板には、大きく「酒場」と書かれている。

    「ここなら何か食べられるか」

     勇者は扉を開けた。

     中には何人もの人間がいた。

     酒を飲む者。

     食事をする者。

     そして、隅の席で一人、黙々と肉を食べている大男。

     身長は勇者より頭一つ以上高い。

     肩幅も広く、腕も太い。

     その横には、大きな棍棒が立てかけられていた。

     勇者は店員から料理を受け取ると、空いている席に座った。

    「……うまい」

     久しぶりのまともな食事だった。

     すると、隣の席から声がした。

    「お前、旅人か?」

    「そうだけど」

    「その剣……まさか勇者か?」

     勇者は少しだけ胸を張った。

    「ああ。魔王を倒しに行く」

     男は肉を食べながら勇者を見る。

    「魔王を?」

    「ああ」

    「一人で?」

    「今のところはな」

     男はしばらく黙っていた。

     そして、立ち上がる。

     背中に背負っていた大きな棍棒を手に取った。

    「なら、俺も行く」

    「……え?」

    「俺は戦士だ」

     男は棍棒を肩に担いだ。

    「魔王がどんな奴か知らんが、面白そうだ」

    「本当にいいのか?」

    「ああ。俺も強い奴と戦いたかったところだ」

     こうして、勇者は新たな仲間を得た。

     名前は――戦士。

     それだけだった。

         * * *

     二人になった旅は、それまでよりずっと楽だった。

     荷物は分担できる。

     見張りも交代できる。

     そして何より――

    「そっちは任せた!」

    「おう!」

     魔物が現れても、一人で戦わなくていい。

     勇者が大剣を振り、戦士が棍棒を叩きつける。

     剣と棍棒。

     魔法も特殊な力もない。

     ただ、鍛えた身体と武器だけで戦う。

     それでも二人は、少しずつ前へ進んでいった。

         * * *

     数日後。

     二人は小さな村の近くまで来ていた。

    「この村、魔王に襲われたらしいぞ」

     道中で聞いた噂だった。

    「魔王が?」

    「ああ。昨日の夜だってよ」

     勇者と戦士は顔を見合わせる。

    「行ってみよう」

     村へ入る。

     しかし――。

    「……静かだな」

     戦士が呟いた。

     確かに村の中には人がいる。

     家も残っている。

     畑も荒らされてはいない。

     大きな火事が起きた様子もない。

     だが、住民たちは皆、怯えたような顔をしていた。

     勇者が近くの住民に声をかける。

    「大丈夫ですか?」

    「……」

     住民は一瞬、勇者を見た。

     そして小さく頷いた。

    「ええ……大丈夫です」

    「魔王に襲われたと聞きました」

    「……はい」

     その言葉と同時に、住民の顔が強張った。

    「夜中に……何かが来たんです」

    「何か?」

    「よく分かりません。ただ……怖くて」

     勇者は村を見回した。

     確かに恐怖は残っている。

     だが、不思議なことに大きな被害は見当たらない。

    「建物はほとんど無事みたいだけど……」

    「……たまたまです」

     住民はそう答えた。

     勇者はそれ以上、聞かなかった。

    「今夜だけ、泊めてもらえませんか?」

    「もちろんです」

     その夜。

     二人は村の家に泊めてもらった。

     食事まで用意してもらった。

    「ありがとうございます」

    「いえ……」

     住民は笑おうとした。

     だが、その表情はどこか硬かった。

     勇者は気づかなかった。

     ただ、魔王への怒りを強めていた。

    「……絶対に倒してやる」

         * * *

     翌朝。

     二人は村を出発した。

     目指すのは、さらに北。

     その先には、魔王城へ向かうために越えなければならない巨大な山がある。

    「この山を越えれば、魔王城までかなり近づくぞ」

     戦士が地図を見る。

    「じゃあ、さっさと行こう」

     二人は山道を進んだ。

     しばらく歩いたところで――

     地面が揺れた。

     ドォン。

    「……何だ?」

     もう一度。

     ドォン。

     木々の向こうから、巨大な影が現れた。

     赤黒い鱗。

     巨大な翼。

     鋭い牙。

     そして、人間など簡単に踏み潰せそうな巨体。

    「ドラゴンだ」

     戦士が呟いた。

    「……でかいな」

     ドラゴンが咆哮する。

     山全体が震えた。

     勇者は大剣を構える。

     戦士は棍棒を握り直す。

    「行くぞ!」

     二人が走り出す。

     ドラゴンの爪が振り下ろされる。

     勇者は横へ飛び、戦士がその隙に懐へ潜り込んだ。

    「うおおおおっ!」

     棍棒がドラゴンの脚へ叩き込まれる。

     ――ドゴン!

    「効いてる!」

     勇者も走る。

    「こっちだ!」

     大剣を振り下ろす。

     しかし、ドラゴンの鱗は硬い。

     剣が弾かれる。

    「くそっ!」

    「頭を狙え!」

     戦士が叫ぶ。

     勇者は走った。

     ドラゴンが翼を広げる。

     飛び上がろうとした、その瞬間。

    「今だ!」

     戦士の棍棒がドラゴンの頭へ直撃した。

     ドラゴンの身体が傾く。

     そこへ勇者が飛び込む。

    「これで――終わりだ!」

     大剣が振り下ろされた。

     ドラゴンは地面に倒れた。

     しばらく動かなかった。

    「……勝った」

     勇者は息を切らしながら呟いた。

     戦士も棍棒を肩に担ぐ。

    「まだ魔王には届いてないぞ」

    「ああ」

     勇者は山の向こうを見る。

     そこには、遠くに巨大な城が見えていた。

     黒い壁。

     高い塔。

     そして、その頂上に掲げられた旗。

    「……あれが魔王城か」

     二人は顔を見合わせる。

     そして再び歩き始めた。

     魔王城へ。

     世界を支配しようとしているという、恐ろしい魔王を倒すために。

    • 6 デスメタル田中 ID:9dc0df87b   [2026-10-02 21:21:15]  通報

    >>4第二期はいつ出す予定?

    • 7 チャベリのにゃん姫   [2026-10-02 21:23:08]  通報

    この2人強すぎ!

    • 8 常連さん   [2026-10-02 21:25:11]  通報

    >>6第一期が全部、投稿でき次第

    • 9 常連さん   [2026-10-02 21:28:12]  通報

    第一期
     第3話 敗北

     ドラゴンを倒した翌日。

     勇者と戦士は、山を下っていた。

     遠くに見えていた魔王城は、まだかなり先にある。

    「……思ったより遠いな」

     勇者が呟く。

    「ドラゴンまで倒したんだ。今さら弱音を吐くなよ」

    「吐いてない。ただ疲れてるだけだ」

     二人は歩き続けた。

     そして昼を過ぎた頃。

     二人の前に、大きな町が現れた。

    「ここまで大きな町は久しぶりだな」

     戦士が町を見渡す。

     高い城壁。

     大きな門。

     商店が並び、道にはたくさんの人が歩いている。

     二人が門をくぐった、その瞬間だった。

    「勇者だ!」

    「勇者が来たぞ!」

    「魔王を倒しに来たんだ!」

     町がざわめき始めた。

     勇者は驚いた。

    「俺のこと、知ってるのか?」

    「ドラゴンを倒したって話がもう広まってるんじゃないか?」

     戦士が笑う。

     気がつけば、二人の周囲には人だかりができていた。

    「頑張ってくれ!」

    「魔王を倒してくれ!」

    「この国を救ってくれ!」

     勇者は照れながら頭を下げた。

    「……任せてください」

     その言葉を聞いて、町の人々から歓声が上がった。

         * * *

     まず二人は武器屋へ向かった。

    「大剣か……ずいぶん傷んでるな」

     店主が勇者の剣を見る。

    「ドラゴンと戦ったんだ」

    「そりゃ傷むわな」

     店主は剣を受け取ると、刃を確認した。

    「まだ使える。ただ、この先はもっと強い奴が出てくるだろう。手入れしておいた方がいい」

    「頼む」

     しばらくして、大剣は綺麗に研ぎ直された。

     戦士も棍棒を見てもらった。

    「こっちは?」

    「……特に問題ないな」

    「そうか」

    「ただ、もう少し大きいのもあるぞ」

     店の奥から、今使っているものより一回り大きな棍棒が出てきた。

     戦士はそれを持ち上げる。

    「……重いな」

    「その分、当たれば強い」

    「これにする」

    「即決かよ」

     勇者が笑った。

         * * *

     夜。

     二人は酒場にいた。

     昼間に町で集めた情報を整理するためだ。

    「魔王城はこの町からさらに北」

     戦士が地図を広げる。

    「途中に森がある。その先を抜ければ魔王城が見えるらしい」

    「じゃあ明日行こう」

    「ただな……」

     戦士の表情が変わった。

    「最近、森の近くで魔王軍を見たって話がある」

    「魔王軍?」

    「ああ」

     勇者は黙った。

     今まで戦ってきたのは、獣やドラゴンばかりだった。

     人間と戦うのは初めてになる。

    「……強いのか?」

    「分からん」

     戦士は酒を一口飲んだ。

    「でも、魔王の城を守ってる連中だ。弱いとは思わない方がいい」

    「……分かった」

     勇者は大剣を見る。

    「それでも行く」

    「そう言うと思ったよ」

     二人は翌朝、町を出ることにした。

         * * *

     翌朝。

     勇者と戦士は町を出た。

     森へ向かう道を歩く。

     しばらくすると、人の気配が消えていった。

     鳥の声も聞こえない。

    「……静かだな」

     戦士が棍棒を構える。

    「ああ」

     勇者も大剣を抜いた。

     その瞬間。

     森の奥から声がした。

    「止まれ」

     二人の前に、数人の人影が現れた。

     武器を持っている。

     服には、見たことのない紋章が描かれていた。

    「魔王軍か?」

     勇者が尋ねる。

     一人が答えた。

    「そうだ」

     勇者は大剣を握り直した。

    「なら、ここを通してもらう」

    「それはできない」

     短い返事。

     そして――

    「行くぞ!」

     敵が一斉に走り出した。

    「来い!」

     勇者も突っ込む。

     大剣を振る。

     敵の一人が盾で受け止めた。

     ――ガァン!

    「なっ……!」

     勇者の身体が押し返された。

    「勇者!」

     戦士が横から棍棒を振り抜く。

     しかし、別の敵が避けた。

    「くそっ!」

     戦士がもう一度振る。

     それも避けられる。

    「こいつら……!」

     勇者が剣を振る。

     だが、当たらない。

     逆に敵の攻撃が勇者の腕をかすめた。

    「ぐっ!」

    「大丈夫か!」

    「ああ!」

     二人は必死に戦った。

     しかし――

     明らかに相手の方が強かった。

     戦士が吹き飛ばされる。

    「ぐあっ!」

    「戦士!」

     勇者が助けに入ろうとする。

     その隙に、別の敵が迫ってきた。

     勇者は剣で受け止める。

     だが、力で押し負ける。

    「ぐっ……!」

     剣が地面に落ちた。

     勇者は息を呑む。

     ここまで、一度も感じたことのない恐怖だった。

    「……強すぎる」

     戦士が立ち上がる。

    「勇者……逃げるぞ」

    「でも――」

    「今は勝てない!」

     戦士が勇者の腕を掴んだ。

     二人は森の奥へ走った。

    「待て!」

     背後から声が飛んでくる。

     それでも振り返らない。

     木々の間を抜ける。

     坂を下る。

     何度も転びながら走った。

     やがて敵の気配が消えた。

     二人は地面に倒れ込んだ。

    「……はぁ……はぁ……」

     勇者は荒い息を吐いた。

     戦士も傷を押さえている。

    「負けた……」

     勇者が呟いた。

    「ああ」

    「魔王軍に……」

    「ああ」

     しばらく、二人とも何も言わなかった。

     勇者は大剣を見る。

     刃には、さっきの戦いでできた傷が残っている。

    「……俺たち、このままで魔王に勝てるのか?」

     戦士は答えなかった。

     ただ、遠くにそびえる魔王城を見つめていた。

     まだ二人は知らない。

     あの城にたどり着くまでに、どれほどの戦いが待っているのかを。

    • 10 チャベリのにゃん姫   [2026-10-02 21:32:52]  通報

    読みやすいから話がはいってきやすい!
    あとめっちゃこの話おもろいです!

    • 11 常連さん   [2026-10-02 21:33:14]  通報

    第一期「勇者」編

     第4話 魔王軍の誇り

     魔王軍との戦いから、数時間が経っていた。

     勇者と戦士は森を抜け、街道まで戻ってきていた。

    「……痛ぇ」

     戦士が肩を押さえる。

    「大丈夫か?」

    「これくらいならな。お前こそ腕は?」

    「まだ動く」

     勇者は傷ついた腕を軽く動かした。

     痛みはある。

     だが、歩けないほどではない。

     二人はしばらく無言で歩いていた。

     先ほどの戦いが頭から離れない。

     あれほど強い相手と、また戦うことになる。

    「……俺たち、もっと強くならないとな」

     勇者が呟いた。

    「そうだな」

     戦士も頷いた。

     そのときだった。

    「……うっ」

     道の脇から、小さな声が聞こえた。

    「今の、何だ?」

     二人は足を止めた。

     街道から少し外れた場所。

     木の陰に、誰かが倒れている。

     勇者が近づく。

    「おい、大丈夫か?」

     倒れていたのは、先ほど戦った魔王軍の兵士だった。

     鎧には傷が入り、片腕を押さえている。

    「……勇者……」

     兵士が目を開いた。

     勇者は剣に手をかける。

    「動くな」

    「……」

     兵士は抵抗しなかった。

     戦士が周囲を確認する。

    「こいつ、一人みたいだな」

    「そうみたいだ」

     勇者は兵士を見下ろした。

    「お前たちは、何者なんだ?」

    「……魔王軍だ」

    「魔王軍なのは分かってる」

     勇者は少し強い口調になった。

    「なぜ俺たちを襲った?」

     兵士は答えなかった。

    「魔王の命令か?」

    「……」

    「魔王は何をしようとしている?」

     しばらく沈黙が続いた。

     やがて兵士が口を開く。

    「……魔王様は」

     そこで言葉が止まった。

     兵士は視線を落とした。

    「……いや」

    「何だ?」

    「何でもない」

     勇者は眉をひそめる。

    「何でもないってことはないだろ」

    「……」

     兵士は答えない。

     戦士が口を挟んだ。

    「お前らは本当に、魔王が世界を支配するために戦ってるのか?」

     兵士はゆっくりと顔を上げた。

    「……俺たちは、命令されたことをやっているだけだ」

    「誰の命令だ?」

    「……」

     再び沈黙。

     そのとき――

     森の奥から足音が聞こえた。

    「誰か来る!」

     戦士が棍棒を構える。

     兵士の顔色が変わった。

    「……まずい」

     木々の向こうから、別の魔王軍兵士が現れた。

    「こんなところにいたのか!」

     倒れていた兵士が身を起こそうとする。

    「待て!」

     勇者が剣を抜いた。

     しかし、新しく現れた兵士は攻撃してこなかった。

     倒れている兵士を見ると、すぐに駆け寄る。

    「怪我をしているじゃないか」

    「……大丈夫だ」

    「大丈夫なわけないだろ」

     新しい兵士は肩を貸した。

     そして勇者たちを見る。

    「……」

     しばらく睨み合う。

     だが、兵士は武器を抜かなかった。

    「行くぞ」

    「……ああ」

     二人の魔王兵は森の奥へと消えていった。

     勇者はその背中を見つめる。

    「……何だったんだ?」

    「さあな」

     戦士も首を傾げる。

     勇者は大剣を鞘に戻した。

    「でも、あいつ……」

    「何だ?」

    「魔王の話をするとき、変だった」

    「俺もそう思った」

     二人はしばらくその場に立っていた。

     しかし、やがて歩き始める。

     魔王城は、まだ遠い。

     勇者たちは知らない。

     先ほどの兵士が言いかけた言葉が、この旅の先で何度も二人の前に現れることを。

     そして――

     その言葉の本当の意味を知るのは、まだずっと先のことだった。

    • 12 常連さん   [2026-10-02 21:36:10]  通報

    勘のいい人ならもう、第二期どうなるか気づく人もいるかも

    • 13 チャベリのにゃん姫   [2026-10-02 21:36:33]  通報

    魔王軍のやつ気になる

    • 14 デスメタル田中 ID:9dc0df87b   [2026-10-02 21:39:48]  通報

    魔王軍側で内戦が起きてるのか?

    • 15 常連さん   [2026-10-02 21:43:19]  通報

    >>14いい推理ですねぇ。今日はこの辺で。毎日(休日は休むかも)1話ずつとうこうしようかな。週末だけ3話ぐらい投稿します。

    • 16 常連さん   [2026-10-02 21:43:50]  通報

    >>14第二期までいけば、答えがわかります

    • 17 チャベリのにゃん姫   [2026-10-02 21:45:31]  通報

    >>15楽しみにしてますね!!

    • 18 常連さん(スレ主)   [2026-10-02 21:48:11]  通報

    >>17楽しみにしといてください。

    • 19 チャベリのにゃん姫   [2026-10-02 21:51:30]  通報

    私はあなたのガチファンなのでいつでも小説読みますね!

    • 20 萌ちゃんニーハイ   [2026-10-02 21:55:17]  通報

    ドパガキだから3行までしか文読めないけど面白い気がするゾ笑

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