もち 2013-06-09 22:18:37 |
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「くねくね」
これは、私がまだ5才の時のこと。
遠いひいひいお爺さんのお墓参りに行った。
ほぼ、辺りはみーんな田んぼ。それ以外何にもなかった。
ただ、一つだけ・・・・目立つものがあった。
白いくねくねしているものが。
そこに住んでるおばさんはいつもこう言う。
「いいかい、田んぼの中をのぞいちゃいけないよ。」
「もし見ても白いものだけは絶対に見るんじゃないよ。」
私が
どうして?
って聞いても
おばさんはいっつも
空を見てぼーーーーっとするばかり。
2日後ー
友達の美佐ちゃんが鬼ごっこしようよ。っと誘ってきた。
暇であったので、「いいよ。」と言って田んぼで鬼ごっこを楽しんだ。
途中で美佐ちゃんが蛙を見つけて捕まえようとし、田んぼに落ちてしまった。
私は居眠りをしていて、その音で目を覚ました。
「美佐ちゃん!」あせって美佐ちゃんの手を掴んだ。
引き上げると美佐ちゃんは「うおおおおおおおおおおおおお!」
それは明らかに美佐ちゃんの声ではなかった。
美佐ちゃんの目は血のように赤かった。
おばさんが駈けてきた。
「この子は見てしまったんだね。逃げな。」
私は母さんと一緒に車で帰った。
もう、美佐ちゃんに会いに行ってもそれはほんとの美佐ちゃんじゃない。
「おおおおおおおおおおおおおおおーーーーーー」
まだこの声はつづいていた。
泣きながら私は
「また、戻ってくるからねーーーーー!」
「そうかい。じゃあ次はお前だね。」
(え?)
次の瞬間私はみてしまった。
凍りつくような冷たい声、雪のような真っ白な体、吸いこまれるような
真っ赤な目。そしてー
蛇のようなくねくね。
みるな。と言われたものを間近で見てしまった。
私は今もそれが肩に乗っていると言われる。
美佐ちゃんを変えてしまったもの、肩に乗っているもの、
それはあの、「くねくね」なんだろうか。
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