鏡音モナ 2022-05-23 20:46:17 |
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第十章「日記」
……5か月後……
今日はリンちゃんとメイコがお見舞いに来てくれる日だ。スマホを見るともう二人は家を出て病院に向かっているらしい。
「モナ~来たよ~」
リンちゃんの声が部屋に響く。メイコは笑顔で私に小さく手を振ってくれている
「ねぇ…モナこれを見てもらいたいんだけど…」
メイコはそう言うと私に中学の教科書くらい分厚いノートを手渡した。表紙にはレン君の字で「日記帳」と書いてある。多分これはレン君の物なのだろう
日記帳だし、見るのも少し罪悪感があるけれど最初のページを開いた
どうやら私の声が出なくなった日の2週間前くらいから書かれているらしい。さっそく私は声が出なくなった日のページを開いた
『9月26日今日はモナの声が出なくなってしまった。先生は病気の進行だと言っていた』
『10月4日モナのお見舞いに行った。声が出なくなってもモナは強く生きていた。』
そこからペラペラとめくっていくと二日前のところにたどり着いた
『3月1日 日に日にモナの死が近付いてくるのが怖い。夜も眠れないし、明日が来るのが怖い』
「毎晩毎晩『明日が来るのが怖い。でも本当に辛いのはモナなのにこうやって思っている自分が情けない』って言ってるんだよね……」
「やっぱり、レンはモナの事をとても大切に思っているから自分の事のように考えてしまうのかもしれないわね……」
リンちゃんとメイコはレン君の事について色々と説明してくれた。うなずきながら昨日のページを開いた。
『3月2日 家にいても仕事をしていてもモナの事ばかりを考えてしまう。最近はモナが死んでしまったら自分の不死を消して後を追おうかと思っている』
そのページを見た瞬間、言いたいことがポンポン浮かんできた。スマホのビデオを自分に向けたアングルにしてホワイトボードに私の思っていることを書く動画を撮った。動画を撮り終えるとリンちゃんとメイコにホワイトボードを手渡した
『この動画。レン君に見せて。私の思っていることが詰まっているから』
「分かったわモナ」
「家に帰ったらレンに見せるね!!」
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