鏡音モナ 2022-05-23 20:46:17 |
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第四章「初夏」
「うーん…どれにしよう…」
私がグッズを選んでいるのをリン先輩とレン先輩は微笑ましく見守っている。今は夏休み。今年の夏は涼しく、最高気温が30℃を下回るくらいだ。せっかくの夏休みなので私とリン先輩とレン先輩はアニメイトに来ている。でもこの三人の中でオタクなのは私だけなので私ばかりが楽しんでしまって少し申し訳ない気持ちがある……
「あっ…すみません私だけ楽しんじゃって…」
「大丈夫だよ~」
「モナの好きなものが良く分かったから私達も十分楽しいよ」
やっぱり二人は優しい……心の底からそう思いながらグッズを手に取る。
「この子は私の推しなんですけどシンプル可愛いって感じで…例えばこのキーホルダーとか色違いで売ってるんですよ」
私が自分自身の推しを紹介すると二人は「なるほどね~」という感じでうなずいてくれた
「あ。オレンジと黄色とピンクあるし…よかったらお揃いで買う?」
リン先輩がキーホルダーをお揃いで買うことを提案してくれた。レン先輩も「いいね~」と言っているので私もキーホルダーを買うことにした。
そして私達のスクールバッグにはお揃いのキーホルダーがぶら下がっている。しかも雨が降っている日にはわざわざカバーまで着けてくれているのだ。二人は私の事だけでなく私が好きなものも大切にしてくれている。
……ガタンゴトン…ガタンゴトン………
帰りの電車の中でぼーっと外の景色を見ているとリン先輩が口を開いた
「モナちゃんって…私の事はどういう意味で好き?」
「え……?」
急に信じられない事を言われてビクッとした。何も言えずに下を向く。リン先輩がこういうことを言って気まずくなると、いつもはレン先輩が何とかその場を落ち着かせてくれるのだがこんなときに限って疲れて眠ってしまっている……
……間もなく大水に到着いたします。降車の際は足元にご注意ください……
電車内に駅員の声が響く。
「レンー!!起きて!!」
「ううん……もうついた?」
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