ヒーロー 2025-03-03 19:37:22 |
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銭湯は出禁となった。
しかしそのおかげで素敵な出会いを果たしたのだから、これ以上に勝る喜びはない。
今までの日々がどうでもよくなるほどの出会いだった。もちろんきつね村とじゃない。
あいつらは文字通り道端の糞だ。あんなのとは比べ物にならない。そもそも男湯ソムリエってなんだよ。
だが彼らに巻き込まれなければあの小道は通らなかっただろう。その点では感謝している。
あの快楽は忘れられない。人生がどうなろうとも、あれだけは手放したくない。あれなしには生きられないのだ。
金を支払う。目の前にあるそれに釘付けになる。この時間だけが至福だ。
私は目の前にあるソレを平らげ、おかわりを頼む。皿は二枚、三枚と連なり山を形成していった。
…?
「今だれかの声がしたような」
しかし店内BGMに重なり、ついぞ聞くことはかなわなかった。
また皿が運ばれる。ぼくは一心不乱にそれを食べ続けるのだ。
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