根来 澄 2025-06-10 02:33:15 |
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1話途中
俺は、水の中にいた。
海でも、プールでもない。
無機質な水槽の中。
まるで、誰かに監視されている金魚のように。
体は自由に動かない。
全身に冷たい何かがペタペタと貼りつけられていて、雑に投げ込まれた時の感覚だけが残っている。
他にも、俺みたいな「人間」はいるらしい。
右隣には、可愛い女の子。
左隣には、格好いい男の子。
そう、“思うだけ”。
俺の目は、まだ何も見えていない。
今日、俺はその水の中から引き上げられた。
あの時と違って、今度は優しく、ゆっくりと。
誰かが俺の腕をそっと引いてくれる。
水面を超えた瞬間、俺は激しく咳き込んで、水を吐いた。
気持ち悪い。
怖い。
「これから、俺はどうなるんだ?」
そんな不安を押し殺して、ゆっくりと顔を上げる。
白衣の人間たちが数人、俺を見下ろしていた。
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「っはぁ!!…はぁ、はぁ…」
俺は勢いよくベッドから起き上がる。
それに反応したシンイチが寝返りを打って、目を開ける。
「ん…ふわぁ……どうした?ユイト。」
「あっ…なんでもない。シンイチ。」
少し沈黙したあとにシンイチが問う。
「…またあの夢か?」
俺は息を?みながら少し答えづらそうに言う。
「あっ…あぁ…。」
シンイチはゆっくりと起き上がりながら俺に言う。
「俺はっ、ユイトみたいな”オリジナル”じゃねぇからわかんないけどよ、あんまり過去に囚われ過ぎてちゃ、戦うことなんてできねぇぞ?」
「…わかってる。」
シンイチは少しため息をつき、ベッドに勢いよく体を叩きつける。
「ならっ、寝ろ。」
俺はシンイチが目を閉じるのを見てから、窓の外に広がる夜空を眺めた。
「ご飯だぞーユイトー」
シンイチの言葉を聞いて、俺は勢いよくベッドから飛び上がる。
「あぁ、気づいたら寝てたのか…」
「いいから、早くリビング行くぞ」
「…わかった。」
俺の名前は「ユイト」。
この「セッション・イニシア」の戦隊長。
たまに国から来る小説を読むのが好き。
昨日、俺の横で寝ていたのは「シンイチ」。
「セッション・イニシア」の副戦隊長。
好きなことは…筋トレだっけ?忘れた。
そのほかには、カズマ、レンジ、ハルキ、ノエル、エステル、ミユ、レナ、アイリ。
総勢10名が「セッション・イニシア」に配属されている。
敵をどうするか決まってない
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