RED_KAKUMEI 2025-08-08 12:53:33 ID:2888a8548 |
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北海道連邦
空は朝から不気味なほど澄み渡っていた。
函館山の影が、街の隅々にまで伸びていたその瞬間??警報もなく、空は一瞬で焼けるような白に染まった。
爆音は遅れてやってきた。耳を裂き、骨にまで響く破裂音とともに、街の中心は光の柱と化した。
五稜郭は跡形もなく崩れ去り、ガラスの雨が旧市街を襲った。
港にいた観光客の多くは、熱線でその場に倒れ込んだ。誰も逃げられなかった。
札幌では、もっと静かに、そして残酷に地獄が広がった。
大通公園の緑は一瞬で黒焦げに変わり、時計台はその白い姿を闇に溶かした。
すすきののネオンは、閃光の中で溶け、まるで都市そのものが時間の流れから消えたかのようだった。
生き残った者たちは何も語らなかった。語る言葉がなかった。
空から落ちてきたのは、ただの爆弾ではない。
それは希望の終わりであり、文明への皮肉であり、
人類が自らに下した判決だった。
街は沈黙の中にあった。
だが、その沈黙さえも、遅れてやってきた風に吹き飛ばされた。
その風は熱を含み、灰を撒き散らし、
かつて人々が笑って暮らしていた場所に、死の静けさを運んでいった。
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