コピック 2012-03-23 13:21:30 |
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後編1
[好きだよ、精市。ずっと一緒。]
あれ?夢?にしてはリアルだな。
夜中、気がつけば廊下はナースだらけ。まさか。
「幸村くん?」「は、ハルは!無事なんですか!?」
「隣の部屋に居るわよ。」
涙目の看護士さんに声を荒げた。分かってるよ。分かってる。
でも、最後の悪足掻き。
君はもう居ないんだろう?
最後まで素直になれなくてごめん。
一緒に居てやれなくてごめん。
俺も一緒に居たかったなあ。
フラフラした足取りでハルの眠るベッドに近付いた。
「おやすみ、ハル。疲れただろう?本当にお疲れ様。」
そう言ってハルの色も熱も無い手を握り締めた。
握り返すことは無くて悲しくなった。
当たり前のことに涙が止まらなかった。
もう一度笑って泣いて精市って呼んで?好きだ。
「ハル、起きて?」
「幸村くん。これね、ハルちゃが大事そうに持ってたの。」
目の前にある一枚の便箋。開けると、また涙が止まらなかった。
ぼんやりと歪む視界にハルの字が入ってきた。
[ねえ、精市はさ、私が居なくなっても寂しくないんだよね。
私は寂しい。もっともっと精市と一緒に居たかったなあ。
私ね、精市が好きよ。大好き。
ねえ、最後だもん。良いね。世界中の誰よりも好き。
何だか眠たくなってきちゃった。
息が出来ない。苦しいよ、精市。たす、けて?
私ってこのまま死んじゃうのかな。
もう二度と起きることが出来ないの?
大丈夫。天国から見守ってるよ。
好きだよ精市。だから笑って?
ごめんね。もう無理。お やすみ なさ い・・]
<私、生きたい。>
<精市。私、頑張るからね。>
神様は意地悪だよ。
こんなにも小さな体のハルに頑張らせてさ。
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