桜風 2012-08-26 09:54:22 |
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AM5:00
私の朝は、早い。
重いまぶたをなんとか開きながら、朝食を作っていた。
作るのは、私の分だけじゃない。
隣に住んでいる、一朗太の分も。
私は今、木枯らし荘というアパートに住んでいる。
ずいぶん前から建っているようで、とても古いアパートだ。
私は弁当箱を布で包んで、自分の朝食をやや急いで食べた後、すぐに部屋を出た。
一朗太の合鍵でドアを開けて、一朗太が寝ている寝室まで行く。
この時の時間は6:30頃。
「一朗太、起きて。朝食出来たよ」
一朗太の背中を揺さぶりながら起こしていると、「ぅう~…」という卯なり声が聞こえる。
一朗太は朝に弱い。
風丸「後5分…」
「駄目っ、今日も練習あるんでしょ?」
そう言うと、一朗太はしょうがなく、上半身を起こした。
…目がまだ開いてないよ。
一朗太の髪は中学生の時よりずいぶん伸びて、今は腰まである。
朝はまだ髪をまとめてないから、昼間より長く見える。
風丸「いただきまーす…
一朗太は、寝起きの声で挨拶をした。
私はそんな長い一朗太の髪をくしでとかしながら、「ふふっ」と声をもらした。
これが、私の日課。
「…ちょっと、ちゃんと髪の手入れしてる?今日はすっごいボサボサじゃない」
私は「んっ…!」と力を少し入れながらくしでとく。
風丸「ああ…昨日風呂入ってすぐに寝た」
やっぱり…と思いながら、大きなため息をついた。
「こうなると私が大変なんだから、気をつけてよー」
風丸「はいはい…ごちそうさま」
適当に返事をしている一朗太をぷくっと口をふくらませて睨む。
「ちゃんと聞いてる?」
そう言うと、一朗太はこちらを振り向き、私の頬に唇を当てた。
「…!!」
風丸「聞いてるよ。…じゃあ、行って来るよ」
…それは、一瞬の出来事だった。
「___行ってらっしゃい」
私は今、大学に通っている。
いつもの教室に入り、鞄の中に入っているノートなどを机にしまう。
佳菜「聞いた?今日、新しい生徒が来るんだって」
このふんわりとした栗色の髪をした子は、日向佳菜【ヒナタ カナ】ちゃん。大学に入ってすぐに仲良しになったの。
「新しい生徒?どんな子だろう?」
私はわくわくしていた。新しい友達が出来ることは、すごく嬉しい。
佳菜がはっと前の方を見た。先生が来たからだ。
私達は慌てて席に戻った。
先生「今日から新しい生徒がここに通うことになったから、仲良くしろよー」
先生の隣にいるのが、その子だそうだ。
金髪で、サイドテールにしていて、とてもきれいな子だ。
「山咲結【ヤマサキ ユイ】です」
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