りんひよの創作所!!

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ひより 2013-02-13 22:04:04
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  • No.54 by ハル  2013-03-15 22:29:29

キミは覚えていますか。
僕たちがまだ幼かったあの頃、桜の下で約束したことを。
傷つく怖さも離れる寂しさも何も知らない、 純粋で無知だった僕たちが、誓ったことを。
『またいつかこの場所で』
出会おう、と。
この時期になると思い出す。
キミの笑顔、キミの声。
春の優しい陽射し。
ひとひら、またひとひらと降る桜たちは、まるで恋心のように。
なまえ、キミは今どこで何をしてるのだろう。


鮮やかな青色とキラキラ眩しい太陽が俺たちを照らす中で太陽より遙かに輝かしい笑顔で振り返る彼女に、確かに温かい何かを感じた。
何か言葉を紡いでいるけれど、何も聞こえない。
葉のざわめきだって、聞こえない。
『何て言うてるん?聞こえへんって』
この時、俺は聞き返さなければ良かったと後悔することになる。
きっと聞き返してしまったから、彼女は消えたのだ。
最後に一つだけ、彼女の声が俺の耳に届いた。
『ごめんね』と、確かに言ったのだった。

「……っ!」

目尻に冷たい何かが伝う感触と、夢の中の苦しさで目が覚めた。
追いかけても追いかけても、一向に追いつくことはなくて、なまえの姿形はだんだん薄くなっていって確認出来ひんくなって、俺は立ち止まる。
そんな夢を今まで幾度も見てきたけれど、ひさしぶりに見た。
夢やと思えば、また涙が色んな感情と一緒に溢れ出す。

時計を見れば五時やった。朝の。
目覚めてしもたし、やることないし、さあ散歩でも行くかと思い立って外に出た俺はこの上ない後悔をした。
なんと途中で雨が降ってきた。
散歩とか、行かんかったら良かった。

「謙也くん」

誰かに呼ばれた気がして振り返ってみたが、 誰も居ない。 女の子の声っぽかったからちょっと期待してしもたけど、こんな時間に女の子が外を出歩く筈もない。
けれど、妙に懐かしい気持ちになった俺の足が自然と向かう先はただ一つであった。
ちょうど今から十年前、彼奴と誓ったあの場所。
空を仰げば、まだ小さかった俺たちには空が桃色に見えたあの場所へ。

『いつか、また』

いつかなんて、いつなんか分からん。

でも、俺は、

会いたくて仕方なかった。
多分、さっき呼ばれたのも気のせいではない。
多分やから、何とも言われへんのやけど。

会いたい。会いたいんや。

「……謙也、くん?」

さっき聞こえたのと同じ声で俺を呼ぶ彼女には見覚えしか無かった。
そして俺は傘も何もかも放り投げる勢いで彼女に近付き、強く強く抱き締めるのだった。


春の追想
(煌めく春の思い出たち)

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