LOST-WAGE ―あの日の空へ―

LOST-WAGE ―あの日の空へ―

pelidot 2013-05-19 19:25:06
通報
ここは小説家志望のpelidotが連載する小説コーナーです。
感想・意見・キャラの提案など、お願いします。

  • No.10 by pelidot  2013-05-27 21:14:10

LOST-WAGE ―あの日の空へ―

SCENE-2_01
三越の携帯が、3回のコール音を響かせた後に再び沈黙した。
立ち上がる三越。
「――ヤツが来ました。案内して来ます」
そう言って、会議室を出る。
――10分程経って戻ってきた彼の後ろには、長身の人影があった。
「入れ」
三越が、顎でこちらをしゃくる。
人影は、ぺこりと一礼すると、音一つ立てずに中に入ってきた。
顔が上がったので、姿がはっきりと見える。
微笑みをたたえた口許。見てくれからして20歳かそこらだろうが、その年齢に不相応な、憂いを帯びた瞳。光の当たる角度によっては、黒にも銀にも見える、背中まで伸びた髪。
―そして、その顔は、男でも見とれる程綺麗に整っていた。服部も初めて会ったときは、何で整形なんぞやってるのかとまで思ったものだ。
1年後輩の部下が、あっと声を上げた。そして、彼に向かって訊く。
「あの…東証第一部のシーエイホールディンクスの一条社長ですか?」
その言葉に、他の奴らまで何だ何だと集まってきた。
三越が、肘で彼をつついた。早く何か言え、と言うことらしい。
彼が、分度器で測ったようにきっちりと45°の礼をした。
「――どうも、東証第一部シーエイホールディンクス社長の一条麗です。僕は民間人が警察の捜査に介入するのは良くないと思ったのですが三越さんが職権乱用して無理矢理引っ張り出されたので」
そこで彼―一条麗の言葉は途切れた。三越が、麗の耳を引っ張ったからだ。
「誰が職権乱用したっておい!」
その手を払いのけ、麗は苦笑した。
「誰がって、あなたが10分以内に警視庁まで来いって意味不なこと言うから、朝7時からアクアライン経由で時速150㎞でマイバッハ62ぶっ飛ばす羽目になったんでしょうが!」
「今、さりげなく自慢したよなお前!?」
「してません車が壊れたらどうしてくれるのかって超遠回しに言っただけですけどそれが何か?」
2人のやり取りを聞いていた服部は、思わず笑みをこぼした。
本来の麗は、こんなに明るいキャラではない。努めて明るくいようと言う健気さが、微笑ましかった。

ニックネーム: 又は匿名を選択:
トリップ: ※任意 半角英数8-16文字
下げ おやくそく
※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※必ずおやくそくのページの内容をご理解いただいた上でご投稿ください
※顔文字など、全角の漢字・ひらがな・カタカナを含まない文章は投稿できません。
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください




Copyright コミュティア All Rights Reserved.
スレッドを作る



トピック名


ニックネーム

(ニックネームはリストから選択もできます: )

トピック本文


トリップ ※任意 半角英数8-16文字



※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください
おやくそく



管理人室
ご意見・ご要望はこちらへ