LOST-WAGE ―あの日の空へ―

LOST-WAGE ―あの日の空へ―

pelidot 2013-05-19 19:25:06
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  • No.8 by pelidot  2013-05-26 21:08:02

LOST-WAGE ―あの日の空へ―

SCENE-1_02
何故か、三越が入った会議室は、空気がこれ以上ない程重かった。
椅子を引いて座り、隣りの服部に訊いてみる。
「――何だこの状況は。しかもここ捜査一課だろ?」
さぁ、と首を捻る服部。
「殺人事件らしいですよ。―美浜区で起こった」
最後の1人が入って来ると、早速説明が始まった。
話によると、被害者は3人暮らしの男性らしい。妻と娘と同じ家で暮らしている、と言う話だった。
「――問題は」
現場検証をした刑事が、浮かない表情で付け足す。
「被害者の机にはパソコンがあったらしいですが、そのパソコンは壊れており、サーバーを復旧させて見たところ、死亡推定時刻と重なる時間に、再生時間2秒程の画像が添付されたメールが送られて来ていると言うことです」
会議室がざわめいた。
再生時間がたった2秒と言うのは、どう考えても不自然だ。そのメールに、何か問題があるのではないだろうか。
「そこで、警視庁は、IT専門の人間に協力を要請しようと―」
代表がそう言ったのを、三越はほぼ無意識に遮っていた。
全員が、何事かとこちらを見る。
「IT専門の人間で絶対に協力してくれるヤツを、1人知ってます。そいつに来てもらっても、大丈夫ですか?」
「許可する」
警視が、頷いた。
携帯を持って、廊下に出る三越。
――1分後、廊下から、凄いがなり声が聞こえた。
三越と比較的親しい服部に、無言で説明を求める視線が集まる。
服部は、肩を竦めて言った。
「相手の機嫌が、悪いんじゃないですか?ちなみに、その協力者のことは、皆さん絶対に知っていると思います」
耳を澄ますと、三越が怒鳴る声がはっきり届いた。
――民間人は警察の捜査に協力する義務があるんだからとっとと来い!服がないんなら、中学のジャージでも着てろ!お前の会社の事情なんぞ、俺が知るか!
その口振りからして、今度の協力者は相当扱い難いようだった。


――夢だ。
麗は、薄目を開けて呟くと、ベッドの中で寝返りを打った。
もう、自分の中では割り切ったつもりの、6年前の夢。―それは、あの頃に戻りたいと思うが故の甘えだろうか。
唇の端に自嘲の笑みを刻み、布団を剥ぐ。―もう、これ以上には寝れそうにない。
起き上がると、軽い頭痛がした。昨日旧友と会ったことで調子に乗って飲み過ぎたせいだろうか。
のろのろと身を完全に起こし、クロゼットの扉を開けた時、サイドテーブルに置いた携帯が着信音を奏でた。
表示を見ると、あまり用がない事を願う番号である。不承不承端末を取り上げ、通話ボタンを押した。
「――はい」
「麗か?」
三越である。
「意味不明で理解不能な事件が起きた。シーエイホールディンクス社長に依頼したい。―手を貸してくれるか」
「…いつもなら寝てる時間に、何でかけてくるんですか」
三越は、とっとと来いと言う文脈の事を怒鳴り声で言うと、一方的に通話を切った。

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