バルガリオ 2025-03-19 17:14:34 ID:9143eb000 |
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【二木先生/ 夏木 志朋 (著)】
「ニキ」というタイトルのハードカバー版と、「二木先生」というタイトルの文庫版の2パターンで発売されています。内容は同じですので、安価な文庫版で購入することをお勧めします。
≪あらすじ≫
どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない。クラスのなかで普通に息さえできたなら。そのためならば、とむかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子供らしくない」と言われれば見よう見まねで「子供らしく」振舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮き上がり、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。
社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンタテインメント。僕らはどうやったって普通になんかなれない。
≪所見≫
お互いの抱える苦しみを分かち合えて良かったねー。みたいなお話って沢山あると思うのですが、この作品にそんなぬるいお約束展開はありません。
ネタバレ無しだとふわっとした表現になっていまいますが、苦悩する二人がどのような影響を互いに与えていくのか、その過程がとても斬新で、ページをめくる手が止まらなくなるような疾走感のある一作です。ダイバーシティからもついに弾かれてしまった二人を描きながら、その題材の割に説教くさくないというのが本作の個人的推しポイントです。
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