小説、詞など No.6

狼が牙を向く 午前二時過ぎ
燃える桜の下
眼を光らせる悪夢に
抗うことさえ出来ずに
本当は全て愛したかった夢さえも
ボロボロに引き裂かれてしまうのか？
『何度でも』
愛しの牙で 突き刺してほしい
ボクは貴女の 永久の僕
ただひれ伏すだけ
『桜の前で』
今宵も 悪夢を見据えて
満月を 切り裂こう
それが 貴女の望む全てだから

『地上に恋をした貴女は』
『眠る間もなく 夢を見続ける』
幻想に満ちた 夢の間には
理想郷が眠っているらしい
怨むことしか 術がない鬼(ショウジョ)の肉体は
佇む桜の生け贄となった
宵の宴に 歌を奏で歩き
そして 誰もが眠りについたという
果たしてソレハ幻想(ｳｿ)か現実(ｼﾝｼﾞﾂ)か
ソレハ 神にも分からぬこと
ソレハ 彼女自身にしか 分からぬこと