小説、詞など No.6

《マリオネット シンドローム》

蠢く森の奥々行き先
カタカタ鳴り響く騒音劇
知らない貴方 よっといで
人形劇は タダでいいから
二つ頭 にひび割れた身体 双子の人形
人を喰らう 化け物人形
さあ ご覧になさいませ 当館は人形劇
あなたの心行くまで お楽しみください

さて 本館へ参りましょう
泣く子も黙る お城へようこそ
こちらにあります 逆さ釣りの彼女
《空中ブランコにくくりつけられた女》でございます
どうにも 冴えないお顔ですね
それなら 少しお茶にいたしましょう
休憩地点はそこの薔薇の木の下
あちこち伸びる 棘枝に引きずり込まれないよう
お気をつけください
嗚呼 違和感がある 人形劇
軋む笑い声 鳴き声 らんらんらんらん
行きはよいよい 帰りは怖い
そもそも 出口なんて ないよ

人形劇にくくりつけられた彼女の亡骸
今宵月に召します生け贄(人間)は
名も知らぬ 憐れな小娘(アリス)
薔薇の木の下に佇むウサギ

暗闇に輪廻する 紅い目