6番目アリス 2012-09-29 22:24:57 |
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願いが叶う日なんて
近づきもせず 遠退きもせず
ただただ 私を見下ろしてるだけ
『ねえねえ、お母さんみて!!』
「ん?なぁに?」
『私ね、絵を描いたの!!』
「素敵ね♪上手よ♪」
『えへへ♪お父さんにも見せてくる!!』
「あ……」
『おと~さん!!みて!!』
「なんだい?ん?その絵…」
『私が描いたの!!』
「上手だね……かしなさい」
『?うん…』
ビリリリリリッ
『あ…え?おと…さん?』
「こんな何も利益を生まないもの…」
ビリリリリリ…
『私…画家、なりたい、のに…』
「画家…?フッ、ハハハハ!!馬鹿か?
無理、だな」
夢が覚めた。
いやなイヤな、記憶
大嫌いなあの人の、夢
いつの間にか汗がグッショリかいていて、
呼吸は途切れ途切れとなっていた
嗚呼、思い出した
私は、画家にはなれない
絵の先生はやめさせられ、
次第に私は勉強しかなくなった
父は私が完璧な成績をとるたび
ニタニタ気持ち悪い笑みを浮かべて
ポツリと毎回こう言うんだ
「もうすぐだな……」
ああ、汚らわしい 自分の身体
あいつ(父)の血がかよってる
絶望の底に落ちかけたとき
私の手を握ってくれた 君
忘れられない記憶を 緩ませてくれた
忘れられない記憶は 忘れかけられた記憶へと
変わっていく……。
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