おこじょ 2013-03-31 20:26:32 |
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第一次大戦での実戦データから、1927年からは改良型のM1911A1に生産が移行した。従来型のM1911とはトリガーストローク幅(A1の方が短い)、グリップフレームのトリガー後方のえぐりとグリップ後端に位置するメインスプリングハウジングの形状(膨らみの有無)、ハンマー直下のグリップセーフティの形状で見分けられる。グリップセーフティの改良は、前線で戦っている兵士が使用した際、親指と人差し指の付け根の部分がハンマーとグリップセーフティの間に挟まり怪我をしたため(ハンマーバイトという)、改良を進言したことによるという。これらの改良が行われた後もまだ、全軍に行き渡るには至らなかった。
制式を外れた後も民間用の拳銃としての人気は高く、護身用銃・競技銃として広く用いられている。アメリカでは最も有名な拳銃であり、コルト社のパテントが失効した現在では各社からガバメントモデル、M1911ベースのカスタムガン等が発売されている。特に競技用の銃としては、カスタムパーツが多数出ているため細かいニーズに応じられる。金属フレームのため個人でカスタムしやすい(ポリマーフレームは切削加工などが困難)。大量に生産されたため、中古の個体が多く価格が安定している。銃自体に重量があるため体感する反動が軽いなどの理由からベースとされやすい。また.38スーパーモデルも、IPSCのように威力でクラス分けされるような大会の高威力クラス用にリロードすると、コンペンセイターを効かせやすいという理由から競技用ベースとして取り上げられる事も多い。ビル・ウィルソンが興した「ウィルソン社」で作られ、ロバート・レイサム、ブライアン・イーノスの二人のシューターに愛用された「ウィルソンLE」はよく知られる。
近年の小口径・多弾装化の波により一時人気が下がり、複列弾倉を採用したハイキャパシティ(ハイキャパ)と呼ばれるモデルも出現したが、アメリカが民間銃の装弾上限を10発に規制したため、再びシングルカラムモデルの人気が上がっている(しかし時限法律であったため既に現在は失効し、一部の州を除いて装弾数制限はなくなった)。
アメリカ以外では軍用として採用されることは少なかったが、長年アメリカ軍の顔であったM1911A1は、アメリカ人にとって最も馴染み深い拳銃であり、その主力弾薬である.45ACP弾は、9mm弾等が主流となっている多くの諸外国に比べても非常に普及している。そのためアメリカ市場を想定した拳銃の開発において「M1911A1に近い操作系統やグリップアングルにする」、「.45ACP対応モデルを作る」などの方針を重要視する銃器メーカーは多い。
海兵隊のMarine Expeditionary Unitなどのようにいまだに使用する軍事ユニットもあり、その名を冠した「MEU」モデルが納入されている。これはモスボールされていたM1911A1のフレームに、スプリングフィールド・アーモリーやキャスピアンのスライドを載せ新規のパーツで組み立てたものである。
シビリアンモデル(民間販売型)
コルト社の民間販売モデルは、基本的にガバメントモデル、コマンダーモデル、ナショナルマッチモデルの3種類である。ガバメントモデルは、基本的に軍用モデルと同仕様。コマンダーモデルは、銃身及びスライドを4.3インチに短縮し、ダストカバー及びグリップセイフティの先端部も短くされている。撃鉄は角型からリング型に改められ、携帯の際衣服に引っかからないよう工夫された。ナショナルマッチモデルは標的射撃競技仕様で、特に精度の高い銃身が組込まれ、他の部品の組立て精度が高い。第二次大戦前のモデルは外見的には刻印以外はガバメントモデルと同一仕様であったが、戦後モデルになると、コルト社純正の可動照準器であるアクロサイトが装着された。
コルトMK-IV SERIES 70 / SERIES 80
コルト社の発売している民間用M1911で、現行モデルはMK-IV(マーク4)シリーズ80型である。戦後には安全対策などを目的に数回のモデルチェンジが行われており、1970年から1983年まではMK-IV(マーク4)シリーズ70、1983年からはMK-IV(マーク4)シリーズ80が護身用・競技用それぞれのモデルで販売されている。
MK-IV(マーク4)シリーズ80には当時主流となっていたオートマチックファイアリングピンブロックと呼ばれるインターナルセフティが新機軸として組み込まれ、マニュアルセイフティ、グリップセイフティに加えて3重の安全装置を有することになった。これは、トリガーのリリースに伴い作動する方式であるため、以前の型と比較してトリガーにかかるテンションが大きくなり、繊細な操作を要求される保守派の競技射手からは不評を買った。このため競技銃に改修されるベースガンとして、中古となったシリーズ70の人気が高まりプレミア価格がつく事態が起きた。
そのため一部の社外品M1911クローンでは、AFPBの解除をトリガーではなく、グリップセイフティと連動させている。
また改良によって大型化したフロントサイトであるが、コルト製のものはステーキ・オンと呼ばれる取り付け方法(スライドに穴を開けて差込みかしめる)が以前と変わっていないため、射撃時の反動・衝撃で吹き飛び、紛失する現象がしばしば生じる(勿論社外品や別メーカー品では取り付け方法を変更して対策している物が多い)。装弾数は8発に増えている。
なお、現在でも復刻版のSERIES 70がM1991A1などと並行して販売されている。
コルト ゴールドカップナショナルマッチ
コルト・ゴールドカップナショナルマッチ戦前からある射撃競技仕様のナショナルマッチモデルがSERIES 70以降、ゴールドカップモデルとなった。主な外見上の仕様は、リブ付のスライドカバーにイライアスン可動リアサイトとパートリッジ型のフロントサイトが装着され、引き代が調整できるワイドサイズのトリガー、ストレート型のメインスプリングハウジングが標準装備、グリップ部前面には7本のグルーブ(滑り止めの溝)が彫り込まれている。内部機構としては、高い精度の銃身が組込まれ、各部品の組合せ精度も熟練工の手により、高精度で組み上げられている。またトリガーとシアの間にディプレッサーが組込まれ、標的射撃に向いたトリガープルを持つ。コルトパイソンに並んで、コルト社最高級モデルである。
これは映画『コブラ』でシルヴェスター・スタローン演じるコブレッティ刑事が、白いグリップにコブラの紋章を入れてカスタムしていた銃でもある。
コルトM1991A1
名称からも分かる通りコルト社が1991年に発売したモデルで、黒いプラスチックグリップが標準装備されている。フロントサイトとリアサイトが変更され、ハンマー(撃鉄)がスパーハンマーとなり、そしてファイアリングピンロックセフティが搭載されて暴発の危険性が極めて少なくなった。ラインナップには3.5インチ銃身(オフィサーズモデル)や4.25インチ銃身(コマンダーモデル)のコンパクトモデルも存在している。
コルトM1991A1コンパクト
コルトM1991A1の短縮型。銃身の長さは3.5インチ、装弾数は6+1。
現在は「コルトM1991 コマンダーモデル」や後述の「コルト ディフェンダー」と競合するためか3.5インチ銃身のオフィサーズ系モデルは廃盤となっている
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