Ghost Finder ThomasCarnacki 2022-09-10 22:23:08 |
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そこは廃村だ。来る途中の道は土砂崩れがそのまま放置されており、徒歩で廃村までいくことを余儀なくされ、きつねは慣れない舌打ちをした。おろしたての白のスニーカーに泥が跡を残すたび嫌悪感が募る。
きつねは高校へ進学し一人暮らしを始めたばかりだった。親の監督下から離れた開放感、全てを自分で決められる全能感、自然に金遣いは荒くなって行く。
金はいくらあっても足りない。そんな生活をしていると親からの仕送りの金などすぐに底を突く。どこかの店でバイトしようとも考えたが、楽で格好良くて、遊びと両立する仕事など皆無だった。
やがてきつねの口癖は「金が欲しい」になった。それを聞いていたのか、その「いい」バイトの話は横に座っていた部活の先輩からこっそりと持ちかけられた。
その話の内容はこうだ。廃墟や肝試しスポットにある物を置いておき、2週間後に回収する。そしてそれをある人に渡せば1万円ゲット。こんな割のいいバイト、お前だから教えるんだと先輩に言われると自然と首を縦に振っていた。
バイトの話を受けた後でもしかしてヤクザ関係かもしれないと後悔していたが、面接場所として指定された駅前のベンチに行っても相手は現れず、予定時刻丁度にショートメールでベンチの下に置いてある石を廃墟に置いてくるように指示があっただけだった。
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