書き込んだ奴を主人公に短編を書く

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Ghost Finder ThomasCarnacki  2022-09-10 22:23:08
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W.H.ホジスンを目指して

  • No.21 by Ghost Finder ThomasCarnacki   2022-09-11 20:41:52

その石は河原に落ちているように角は丸く削られており、藁か何かを編んだ縄で十字に縛られていた。丁寧なことに持ち手もある。縄を解いて河川敷に転がしておけばすぐにどこに行ったか分からなくなりそうなほど特徴の無い石だ。きつねはどこか気持ちの悪さを感じたが、その石を掴むとジーンズのポケットに捻じ込んだ。

先輩の話は本当だった。そこが地元でもないきつねには肝試しやら廃墟に心当たりがなく、仕方なくネットで事故物件検索サイトとして有名な大島てるで調べた。案外政令指定都市にはそんな物件はごろごろあるようできつねが住む近くのアパートもその地図に載っている。近所だしそこでいいかとそのアパートに行くと築50年は優に経過した寂れたアパートだ。入居している人も少ないのか階段は錆びており風も吹いていないのにどこかで金属音が響いている。きつねは気味悪さを感じ、アパートの入口に一歩だけ足を踏み入れ、石をブロック塀の傍に置いて逃げ帰った。

2週間後、きつねは依頼人から石の引渡の場所が記載されているメールを受取りその石の存在を思い出す。置き去りにした石を持とうとしたとき違和感を感じる。こんなにこの石、重かったか?ポケットに前のように入れる勇気もなく持ち手の紐をつまんだ。

依頼人に指定されたのは面接の時と同じベンチだった。そのベンチの下に石を置くと次は駅の反対側にある電話ボックスに向かうようにメッセージが飛んでくる。渋々その電話ボックスに行き、台の裏を見ると封筒が張り付けられている。その中には1万2千円が入っていた。事前に言われていた金額よりも2千円も多く慌てて依頼人にメールすると、いい仕事をしてくれたため色を付けたと返事があった。そしてまた頼むと。きつねはその言葉にすぐさま了承の返事をしていた。

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