Ghost Finder ThomasCarnacki 2022-09-10 22:23:08 |
通報 |
「じゃあ、私、探しに行ってくる!」
モナがそう言いだすのも仕方なかった。まだ雪は降っていないが外で野宿するには寒い。
鍵を持っていた友人にキーホルダーの形状などを確認する。暗い所で光るキーホルダーだ。まだ見つけやすい。一緒に行くと言う友人たちをモナは押しとどめる。30分経っても戻らなかったら警察に連絡してと伝え、懐中電灯を握りしめた。1人廃墟に再び足を踏み入れる。女は度胸。そう頭の中で反芻させた。
エントランスはひっそりと静まりかえっている。空気は淀み、埃っぽい。先ほどは友人の背中と足元ばかりを見ていたため中がこんなに荒れていることに気が付かなかった。
ガラス類は割られ壁には落書きがいくつもある。忍び込んだ誰かが壊したのか猫足の椅子は背もたれは割られ、横たわっていた。この広い空間のどこかに鍵は落ちているはずだ。
床を懐中電灯で照らす。見落としがないように慎重に見るが見つからない。段々と焦れてくる。背にじっとりとした汗が伝った。
自分の背後から音が聴こえる。水の落ちる音。慌てて振り返るが誰も居ない。きっと老朽化でどこかのパイプから水漏れがしているのかもしれない。そう自身を納得させる。
|