Ghost Finder ThomasCarnacki 2022-09-10 22:23:08 |
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「まあ、悪い意味はないんだ、好きにするといい」
「ありがとうございます。それで先輩、一つ聞きたいことがあります」
ぼんぐりは目を真剣なものにして問う。「医者っていったい、なんなんでしょうか」いままで、どれだけ考えても出なかったその答え。きっと、間は明確な答えを持っていると思った。だが、
「さあ、わからん」
間の口から出たのは、あまりにも適当なものだった。
「分からないって……いや、先輩ならわかるはずです。先輩は誰よりも医者です。だったら、医者としてあるべき、確かな答えを――」
「わからんと言ったらわからん」
間はぶしつけにぽんぐりの言葉を遮り、続けていった。「理由だとか意味だとか、考えたことがない。ただ、患者を治療し続けた。そしたら、いつの間にか医者になっていただけだ」
いつの間にか……医者に……。
ぼんぐりはぐっと全身に力を入れ「なるほど」と一つ呟いた。
「悪いな、分かりやすいな答えじゃなくて」
「いえ、とてもいい答えだったと思います」
目を閉じ、ぼんぐりは深々と頭を下げた。「ありがとうございます」
「礼には及ばない。失礼する」
間がその場から離れる気配を感じても、ぼんぐりは頭を上げなかった。その状態のまま、ぼんぐりはある確信を得ていた。自分の描く理想への道のりは、いまだ見えない。でも、その先に彼がいる。学ぶんだ。先輩から……僕が医者になるための、大切なものを。
その後、ぼんぐりが間の助手として行動を共にするのは、研修が終わった3か月後のこと。
ENDーブラックジャックによろしくを読んだら面白かったのでー
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