桃城と海堂の場所

大丈夫だ！暇なときにでもかえしてくれりゃあいいよ！

もちろんだ。お前のこと大事だって思ってる。だからこそ、お前を傷つける奴は絶対ゆるさねぇ。

ははっ、ありがとな！そう言われると安心するぜ。
でも、この世には俺よりもいい人はたくさんいる。だから、他の人が良くなったらいなくなってもかまわねぇよ？桃城武

そうか。
お前にいい人が見つかる様に祈ってる。

じゃあな・・。

ああ、じゃあな。

桃城へ（手紙）


俺の心を傷つける人から守ってくれたのに
何もしてあげられなかった

大切だと言ってくれたのに
俺はやたらお前をむやみに傷つけた

毎晩毎晩
ごめんなさいと呟いて泣くしかなかった

大切なことを教えてくれたのに
大事にしてくれたのに

もうこれ以上傷つけるのが怖くて
これ以上傷つくのが怖くて
お前を突き放すしかなかった

守ってくれたこと
本当に嬉しかった

そして何もできなくて傷つけて
本当に悪かった

俺なんてこの世にいなければいいのに
そうすれば誰も傷つかなくて済むのに

もう俺のことは忘れて
どうか幸せになって

天使になって見守っているから。

海堂 薫

海堂…っ！？（驚いた顔をして

俺は、お前が好きなんだ。
俺の背後も、俺もお前だから好きなんだ。
性別なんか関係ない。
俺はお前を守りたい。それで、一緒に居たかっただけなのに…（孤独の部屋でボソボソと呟いて

…。（背中で相手の声を聞いてはっと立ち止まり）
もも、しろ…。（その場で泣き崩れて）

どうしたらいいのか、わからねえ…。

なんでお前はいつも相手の幸せ願って自分が犠牲になろうとするんだよ…（相手に歩み寄ってうしろから抱きしめて

お前がしたいようにすればいい。
俺はおまえの判断に任せるよ

桃…。

俺は…
お前が俺を必要としてくれる限りお前の傍に居たい。

だからお前も俺よりいい人を見つけたら…
いつでも俺から離れていい。

それで構わないか…。

あのな、海堂。
俺は今までお前ほど好きになったやつはいねーし、お前以上はいないと思ってる。
だから、俺からお前のそばを離れることはねーよ。

それに、言わせてもらうと好きって気持ちは自由だ。
諦める必要なんかねーし、少しは我儘も必要だぞ？

ありがとうな、桃城…。

本当のことを言えば、俺の中で好きとか愛するとかいう感情が
消えかかってる…。
（小さく溜め息をついて）
どこに行っちまったんだろうな…。
すまねえ、こんなこと言いたくねえって思ってるのに。
…辛くて…。（目に涙を溜めて）

たぶんそれは倦怠期じゃねーのか？
そーゆーの結構あるらしいから気にすんなよ。
お前が好きとかって気持ちを無くしたくらいで俺はいなくなったりしねーよ。
お前が思えばすぐ会える場所にいる

ありがとう…。

（小さく溜め息をついて）
あの時…
嘘でもいいから愛されたいなんて願うんじゃなかった。

自分の幸せの分、あいつが幸せになりますようになんて祈るんじゃなかった。

フン、結局…俺は願いを叶えてくれたのにあいつを憎み続けて
生きることになる。（自分を嘲笑して）

…。
お前にもっと早く出会いたかった。

そりゃ、相手の幸せ願って自分が身を引けば自分が不幸になるに決まってんだろ。
分かっててそうしたんじゃねぇのか？
その相手を恨むのもよくわかる。裏切られて、10年間無駄にして、心がズタボロだろ。

仕方ない。それは俺だっていくら思ったか。

どこかで…。
心のどこかであいつが本当に俺のことを想ってくれているのなら
一緒に幸せになれるって信じていたから…。
ああ…。
バカだよな…。10年も待つなんてな。
今では幸せそうな人を見ると引き裂いてやりたいくらいに憎い。
そして俺はこの世界が憎い。
お前の言う通り...恨んでる。それも強く。
だからこんな俺と一緒に居るなんて、お前にとっていいはずがない。

海堂、ちょっとキツイこと言うかもしれねぇけど、不幸なのが自分だけだと思うなよ。
俺だってお前と同じ境遇にあった。
時間は短くても裏切られたのは同じで、憎んでるのも同じようなことでだろ。
お前だけじゃねぇんだよ。一人で抱え込むな。一人で乗り越えようとするな。
俺はお前となら幸せになれると思った。
だから、お前のとこに来たんだろ。

俺は今、お前だけが好きだ。
お前が他の奴と付き合ってても、他に好きな人がいたとしてもお前が好きだ。
こんな状態でいうことじゃないだろうけどな。
けど、お前は幸せにならなきゃいけねーよ。
苦しかった世界から抜け出すんだ。

そうだな…。

俺がお前くらいの年だったら幸せになれたかもな…。

俺はあいつに沢山のものを預けた。いや、全て…。
だから...もう何もない。
死んでる...ようなものだ。

死んだ様に生きる。それが俺に与えられた、
運命なんだろうな…（目に涙を溜めて）

幸せに触れようとすれば大やけどをする。
それを俺はあの前にいた場所で分かった。

俺にはもう…身が死ぬのを待つだけだ。

お前はこれからもっと色んな人と会って、俺のことなんて忘れていく。

すまねえ。
…涙が…溢れて止まらねえ…。（むせび泣いて）

年なんかかんけーねーだろ。
みんな同じ時に幸せが来るとも限らねーし、そう思いつめんな。

死ぬのを待つってくだらねぇこと言ってんじゃねぇよ。
なんで生きようとおもわねぇんだよ？
そんなに苦しいなら元恋人のことなんか忘れろ

桃城…。

俺は…お前に…ついてく…。

…ついていって…いいのか？

前からずっとついてこいって言ってんだろ？（微笑んで頷き

…///（嬉しそうに俯いて）

ありがとう…。
辛さから…救ってくれて…。