櫻ヶ谷 2012-06-28 23:25:00 |
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でも、この時の蘭は違った。
最初に ビクッ! って肩を震わせたけど、すぐにキッっとこっちを見返してきた。
「誰でも良いじゃない。」
「良くねぇよ!!」
「皓也には関係ないでしょ?!」
…ズキッ 唐突に胸に刺さる言葉。
「皓也は私を何時だって助けてくれた。でも、もう良いよ。」
「…なんでだよ…」
─蘭サイド─
皓也、私は1人で良いんだよ。
皓也に迷惑掛けるくらいなら、1人が断然マシ。
大切な幼なじみ。
大切な親友。
だからこそ、私は皓也から離れる。
「そもそも、私なんかと皓也じゃ、住む世界も違うし、友達なんて殆ど居ない上にこんな事されてる人間と、毎日沢山の人に囲まれてる人に、一緒に居る理由なんて無いよ。」
こんな言葉言いたくない。でも、ホントのこと。すると、皓也が言う。
「…なんだよそれ。んなの、理由になってねぇじゃんか!」
否定してくれる優しい皓也。
それでも、私の決意は揺るがない。
「充分理由だよ。」
「どこg…」
「そもそも、私が皓也に助けて貰うことでどんな思いしてたか分かる?!迷惑なの。全部全部全部!」
ダメ…もう、止められない。これ以上言うと、私は…………
「今日こうしてここから出してくれたことには感謝するよ。でも、もう助けてくれなくて良い。もう構わないで良いんだよ。幼なじみだからって気に掛けなくて良いんだよ。
だから、有り難う。そして、さよなら、皓也。」
それだけ一気に言って、私は家路を駆けた。一度も振り返らずに。
家に帰ったとき、涙が流れていたことに、指摘されるまで気づかなかった。
─皓也サイド─
「さよなら、皓也。」
蘭が駆けていくのを、俺は追いかけることが出来なかった。
あまりの衝撃で動けなかった。
流石に痺れを切らした教師に見送られて帰るまで、俺は蘭の駆けていった方をただ見つめてた。
〈さよなら〉 この言葉はあまりにも悲しくて。
大好きな人との別れを何よりも明確に示されてて。
俺は、ガラにもなく家に帰ってからも泣いた。
─蘭サイド─
それからはホントに皓也とも関わらなくなって、虐めも激減した。
やっぱあの虐めは私に嫉妬したからだと改めて分かる。
そんな嫉妬されるような仲じゃ無いのにね。
皓也の居ない通学路も休み時間も、私には地獄に思えて。
人に囲まれてる皓也を見る度に皓也への思いは消えずに寧ろ募って。
どれほど私の中で皓也の存在が大きかったのか分かる。
でも、これで良い。このまま月日が経てば、皓也も私なんか忘れるよね…?
…寂しいのは、皓也が幼なじみだったから。
すぐに消えるから、大丈夫……
─皓也サイド─
あれから、蘭と行動することも殆ど無くなった。
しかも、蘭への虐めも見当たらなくなった。
…ははっ、全部全部俺のせい…か。虐めも、悲しみも。
そんな時、1人の女子が俺を呼び出した。
「紅旺君…あの、私、ずっとあなたのことが好きでした!お付き合いして下さい!」
…こんな最中でも、浮かぶのは蘭の顔。
だから俺は、最低の決断を出してしまった。
……蘭じゃないなら、もう誰でも良い…………
「あぁ、良いよ。」
…俺は、この女子に蘭の代わりを求めてしまった。
─蘭サイド─
皓也に彼女が出来たっていう話は、すぐに私の耳にも入ってきた。
…ホラね、もう私は居なくても大丈夫でしょ?
これでやっとホントに気兼ねなく過ごせる。…そう、嬉しいの。
…なのに、私は笑顔にならないの。涙が溢れるの。
もう、私なんか消えちゃえば良いのに。
皓也が他の女の子と仲良くするのなんてヤダ。私に向けてくれてた笑顔を他の女の子に見せるのなんてヤダ。
ヤダよ皓也…
…私、最低。自分から突き放したのに、こんな醜い執着。
そして、分かってしまった。どうしてこんなにイラついて悲しいのか。
……………私は、皓也のことが1人の異性として好きだっだんだ………
落ち込んでるの?
辛いの?
なんて聞いても
帰ってくるのは大丈夫、平気
そんな言葉だけ
強い必要なんてないに
たまには俺に格好つけさせてよ
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